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体がクネクネする・じっと座っていられない——ふざけているわけではないのかも

この記事でお伝えすること
  • 「体がクネクネする」「じっと座れない」の背景には、3つの体の事情の候補があります
  • ふざけている・しつけが悪い・やる気がない——のどれでもない可能性があります
  • 叱るより効く、環境側の工夫をまとめます

授業参観で、わが子だけがクネクネしていた

「ちゃんと座りなさい、って今日何回言っただろう」「うちの子だけ、どうして」——あるいはあなた自身が、子どもの頃そう言われて育ちませんでしたか?

椅子の上で体が左右にゆれる。頬杖、崩れた姿勢、気づけば机に突っ伏している。 家庭訪問で「落ち着きがなくて」と言われる。何度注意しても、数分で元どおり——。 大人も同じです。会議中、自分だけが座っていることに消耗している。 まっすぐ立っているつもりが、いつの間にか壁に寄りかかっている。

「だらしない」「ふざけている」「しつけの問題」。 そう言われ続けてきたこの現象には、体の側の説明候補があります。

背景にある、3つの体の事情

クネクネの原因はひとつではなく、次の3つが重なり合っていると考えられています。 どれか1つに決めつけず、「候補が3つある」と知っておくのが正確です。

  • ①関節のゆるさ(過可動)——靭帯の支えが頼りないぶん、筋肉が姿勢を支え続けることになり、 じっと同じ姿勢を保つのが高コストになります。姿勢を頻繁に変えるのは、筋肉の交代勤務です[1]
  • ②筋肉の張りのゆるさ(低緊張)——体を支える筋肉の基礎的な張りが弱めで、 同じ姿勢の維持がそもそも大仕事になっているタイプです。過可動と重なることがよくあります
  • ③体の位置情報を探す動き(固有受容覚)——自分の体がどこにあるかの情報が曖昧な体は、 動くことで位置を確かめている、という見方があります。ゆれる・もたれる・ぶつけるように座るのは、 情報収集の動きかもしれません[2]

共通するのは、どれも意志ややる気の問題ではないということ。 そして、叱っても改まらないが、環境を変えると変わりうる、ということです。

叱るより効く、環境側の工夫

  • 椅子を見直す——足の裏が床にしっかり着く高さ、背もたれ。足がぶらぶらする椅子は、それだけで姿勢の難度が上がります
  • 「動いていい場面」を作る——プリント配りなどの動ける役割、休み時間にしっかり動く。動きを禁止するより、合法化する
  • 寄りかかりを許す——壁ぎわの席、クッション。もたれることは、ずるではなく支えの外注です
  • 大人の場合——会議での姿勢替えや立ち作業の併用を、堂々と。貧乏ゆすりやそわそわも、体の自己調整かもしれないと知っておくだけで、自分の見え方が変わります

ここまで読んで、「環境のせいにして、本人のためになるの?」と思った方もいるかもしれません。環境を整えるのは甘やかしではなく、力を出せる土台づくりなんです。

気になる場合は、どこに相談するか

クネクネに加えて、よく転ぶ・極端に運動が苦手・疲れやすい・関節の痛みがある—— というサインが重なる場合は、小児科や自治体の発達相談で一度相談してみる価値があります。 その際、「姿勢が保てない」「体がゆるい感じがする」と、体の面も具体的に伝えてください。 大人は、このサイトの自己チェックで関節のゆるさを確かめるところから始められます。

学校の先生に伝えるときの文例

連絡帳や面談で使える形にしておきます。 「姿勢が崩れやすい体質のようで、本人なりに座り続ける工夫をしているところです。 ふざけているわけではないので、姿勢のことは強く注意せず、様子を見ていただけると助かります」—— 診断名は不要です。「体質」という言葉だけで、先生の見る目は変わります。 可能なら「足が床に着く椅子にしていただけると助かります」と、具体的なお願いをひとつ添えてください。

「甘やかしでは?」と言われたら

環境を整える話をすると、「甘やかしだ」「社会に出たら通用しない」と言う人が現れます。 でも、メガネの子にメガネを許すことを甘やかしとは言いません。 体の事情に装備で応えることと、わがままを通すことは、まったく別の話です。 そして皮肉なことに、叱られ続けた子より、工夫を与えられた子のほうが、 自分の体との付き合い方を学んで、長く安定して社会に参加していけます。

なお、この話は「クネクネしてもいい、で終わり」ではありません。 体の事情に合った環境があれば、集中できる時間はむしろ延びます。 目的は姿勢の矯正ではなく、本人が持っている力を体の消耗に食われずに使えるようにすることです。

叱っては反省して、また叱ってしまって——そうやって悩んでいる時点で、あなたは十分に向き合っている人です。自分を責める分を、椅子の調整に回しましょう。

この記事のまとめ

  • クネクネ・じっと座れないの背景候補は3つ:関節のゆるさ・低緊張・位置情報を探す動き
  • どれも意志やしつけの問題ではなく、叱っても変わらないが環境で変わりうる
  • 椅子の高さ・動ける役割・寄りかかりの合法化が、環境側の第一手
  • ほかのサイン(転ぶ・運動が極端に苦手・疲れやすい)が重なるなら、相談先がある
出典
  1. College Hill Pilates and PT. EDS and Tight Muscles. 2020. https://www.collegehillpilatespt.com/2020/05/21/eds-and-tight-muscles-if-my-joints-are-so-loose-why-do-i-feel-so-tight/
  2. Smith TO, et al. Do people with benign joint hypermobility syndrome have reduced joint proprioception? Rheumatology. 2013. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23728275/
  3. Developmental Coordination Disorder and Joint Hypermobility in Childhood: A Narrative Review. 2022. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9317025/